2005年10月1日[土]
いよいよ明日、HYT演劇祭が開幕です。夕方六時より。準備に追われてヘトヘトだが高揚感がそれを上回る。HYTメンバーも各々にがんばっている。演劇祭では今までに見えていなかった悪いところが噴出してくるだろうけれど、もちろん良いところもかま首を持ち上げてくるはずだ。今日は自主練日だったけど、稽古場や扇町公園なんかでみんな練習していたみたい。各作品のチラシなんかもいろいろ趣向が凝らされていて面白いし、芝居の内容もバラエティに富んでて楽しみだ。今回の演劇祭は一般公開はなしって決めたんだけど、せっかくみんなががんばっているんだからせめて関係者くらいには見てもらおうと、今日知り合いに「観にきて」とメールを打ちまくった。とりあえず、ぐっさんは観にきてくれないらしい。残念でならない。僕の知り合いで興味ある人は是非是非観に来てください。もし出来がよかったら再演とかしてたくさんの人にも観てもらいたいなあ。



2005年10月2日[日]早朝

「必死で仕事して、疲れて家に帰っているところを、睡眠時間を削ってゼロから考えてみる。本気で取り組むというのは、そのくらいのことをいうのだと思う」

心の師匠・佐藤可士和ディレクターが『プロ論』の中でそんなこと言っている。『プロ論』って響きはなんだか擬音のようだ。「プロロ〜ン」みたいな。早く寝なきゃ寝なきゃと切実に体が訴える中、現在朝の7時55分。マジレンジャーがもうすぐ終わって仮面ライダー響鬼がはじまる時間だ。いよいよHYT演劇祭の本番まで12時間を切ってきた。パンフレットができあがって、これから効果音の作製。不思議と体力は持ちそうだ。アドレナリンが出ているおかげか。あと一日がんばって今夜は寝まくろう……と思ったら、明日と明後日は『グッドエレファントライブ』の本番だ。まだまだ眠れそうにない。『グッドエレファントライブ』の詳細は今晩アップします。映像上映のほか、マリオ、フジコ、カルロスの衣裳、パンフ、台本、レアグッズなどの販売もあります。フリマ状態です。全然宣伝してないのでどれぐらい人がくるのかさっぱり読めません。ひとりも来なくても自分たちだけで盛り上がってやります。ジャングルカフェが「俺んち」状態に。そんなノリで。でも、みなさんが来てくれるのもちょっとだけ期待しています。よろしくです。では、作業に戻りまーす。






2005年10月2日[日]深夜
まあ、そんなこんなで終了したHYT演劇祭。なんだか濃い一ヶ月だった。濃い一ヶ月は恋一ヶ月には発展しなかったんだろうか。ああ、ごめん、つまらんね。今回のHYT演劇祭では課題が山のように浮き彫りになったけど、とりあえず終わったあとみんなで飲んだビールは最高に旨かった。結果はまた後日ブログやHPで報告させていただきます。今頃みんな夢の国の住人か。僕はといえばこれから映像の武信さん家に行って今日上映する映像の最終チェックをしなければならないのだ。眠い。眠たくて仕方ない。この眠たさに免じて今日のライブは是非観にきてほしい。なぬ、仕事があって間に合わない!? そういう時は爆風スランプのなんかあのタイトル忘れたけど走る〜走る〜とか歌っている曲を頭の中で鳴らしながら走ってくるのだ。もうとにかくよろしくお願いします。などと書いているそばから寝落ちしそうだ。武信さんが待っている。早く行かねば。とにかく観にきて!



2005年10月3日[月]
『グッドエレファントライブ』一日目。ダラダラ小屋入りしてダラダラ準備する。みんなで近所のメイドカフェに昼飯を食いに行ったり、近所の心霊スポットに行って怪現象に遭遇したり(ホントに怪! 走って逃げたよ)、このあと本番とは思えない緊張感のなさだ。ビール飲みながら『ゴールド・バンバン!!』の上映会、そのあと昨日誕生日だったヨダちゃんをみんなで祝ったり、アフレコ大会をしたり。楽しかった。



2005年10月4日[火]
『グッドエレファントライブ』二日目。赤星くんと上原くんと僕の三人で進行する予定が、なんだかんだで増えて最終的には三倍くらいの人数に。昨日に引き続き、ビール飲んだり、途中でパン買いに出かけたり、やりたい放題で申し訳なく、怒って帰った人がいなかったのが不思議なくらい。みなさんの懐の深さに感謝感謝です。まあとにかく、楽しい二日間だった。



2005年10月5日[水]

『グッドエレファントライブ』終了しました。HYT演劇祭から休む間もなく突入したのでヘトヘトでしたが、すごく楽しかった。加藤登紀子のほろ酔いコンサート(ライブ開始時におときさんが日本酒を一気飲みしてから歌い始めるというライブ)に習って、ビールを飲みながら本番を行うという「怒られたらどうしよう」的なヒヤヒヤもんのほろ酔いライブでしたが、観にきてくださった皆様はお楽しみいただけたのでしょうか。よくわかりません。また機会があったら形を変えてああいうのもやっていきたいと思います。HYTのみんなも観にきてくれてありがとー。そして、二日間とも手伝ってくれたたかちゃんも大感謝です。今日はHYTのひとつの山場となった演劇祭終了後、初の稽古。気を引き締めなおして稽古場に向かうのだ。

写真はライブ初日の準備中、たかちゃんやみんなと行ったメイドカフェでのひとコマ。メイドさんがオムライスに僕の似顔絵を書いてくれたよ。写真をよく見たらわかるけどみんなオムライスを頼んでいる。なめちゃんは「男に中の漢!」、まりえちゃんは「あんたが一番!」って書いてもらってた。






2005年10月6日[木]
とにかく今日少しは寝ないと明日まったく役に立たないことが目に見えている。徹夜するともうダメだ。使い物にならない。持久力が目に見えて落ちている。歳だ。腹も出てきたし頭も禿げてきた。もういかに「いい禿げ」になるか、そんなアイデアを自分の中にプールしはじめている。歳なのだ。20代、演劇にかまけて体を酷使し続けてきたツケが廻りはじめているのをひしひしと感じる。老いる分いい味出せるように頭を捻っていくので、みんなも一緒に老いながら楽しい時間を過ごしましょう。僕の禿げっぷりも見届けてほしいしね。



2005年10月7日[金]
演劇祭が終わって、HYTは10月ワークショップ『オウルズ・マップ 対抗戦』へと移行する。ピースピットでやった『オウルズ・マップ』という作品をHYT内で「チーム梟」「チーム駒鳥」の二組に別れて各々競い合うというもの。すでにキャスティングは終了。本日より稽古に突入する。HYTがはじまって、まだ二ヶ月か、もう二ヶ月か。わからないが、HYT演劇祭はひとつの山場になったと思う。

HYT演劇祭は、僕の友人を何人か見学で誘ってたんだけど、せっかく観にきてくれたその友人たちを非常に落胆させる結果となった。包み隠さずに言うと「ここまでレベルが低いとは思わなかった」「これくらい人がいたらひとりくらいはいい役者がいてもおかしくなさそうなのに」「期待できそうにない」「みんなナルシスト演技だ」「客観性がなさ過ぎる」「少しは空気を読みなさい」とまあいろんなことを言われたわけで。燦々たる結果だ。あまりにも悔しくてその夜は布団の中で苦しみにもだえた。僕もみんなの頑張りに胸を熱くしながらも、いざ発表の時間が経つにつれ血の気が失せていった。「台本が遅かったから」「時間がなかった」「環境が整わなかった」と、今回の結果を分析して原因を自分の外側に感じているメンバーが多いみたいだけど、原因は外側にもあるし内側にもある。そして、そういった様々な原因を突き破るだけのパワーがなかったというだけのことだ。こういうことを言うとHYTメンバーからは「なんでそんなプレッシャーかけるんですか?」「ひどいことを言わないでください」「胃が痛くなります」「頑張ってるのに」とブーイングが出るのだけれど、プレッシャーぐらい感じてほしいし、ひどいことを言いたくて言っているわけでもないし、自分の胃だけ労らないで人の胃も労って欲しい。頑張ることやしんどいことに挑戦していくことを特別視しているけど、頑張ることもしんどいなんてことも創作の現場では当たり前の通過点だ。「努力」した自分を真っ先に自己評価して満足を得ないでほしい。「努力」は当然なのだ。そういう僕も舵取りとしてみんなをうまく導けなかったと大いに反省をしないといけない。最大の責任者は僕であるからして、2月、よい芝居が出来なければそれは全面的に僕のせいだ。だから、今回の結果を踏まえて僕は気を引き締め直したい。楽しく笑いながら芝居を作ってはいきたいけど、ただの仲良しごっこになるくらいだったら、僕はみんなを敵に回してもかまわないからよい芝居を作れるようにしていきたい。そりゃ人からは好かれたいけど、HYTの現場ではもう好かれようなどとも思わないことにした。現場では、「クリエイト」というものに対して真摯でありたい。それが集まってくれたHYTメンバーに対する僕の誠意だ。2月公演の千秋楽、浴びたことのない様な満場の拍手の中で、HYTの幕を閉じさせるために僕はもっともっと頑張らないといけない。

何百万円も出して世界を一周したり、何十億円も出してスペースシャトルに乗って宇宙旅行をしたり、人は自分を取り巻く世界の姿を知りたくていろんなところに出かけていく。僕は「クリエイト」という装置で、誰も観たことがない風景、誰もたどり着いたことのない世界を見てみたい。できれば、いろんな仲間や友人たちと楽しく笑いながらそれを見ることができたらどれほどの喜びか。僕は神様も信じていないし、筋金入りの唯物論者だ。だから死の耐え難い恐怖に毎日毎夜おののきながら生きている。でも、もし「クリエイト」という装置でこの世界の中心までみんなでたどり着くことが出来たなら、僕も僕の友人たちも人生を豊かと感じ、死を柔らかく迎えることができるのではなかろうか。漠然とだけどそんなことを願っている。「クリエイト」こそが僕の中の「神」なのだ。

あと、4ヶ月で登らなければならない山の高さがわかっただけでもHYT演劇祭の成果はあった。目指す頂は雲の上。いや、大気圏の上だ。ロケットがないとそこまでたどり着けない。僕はみんなが乗れるロケットを作らないといけない。みんなはロケットを操縦したり、強烈なGに耐えることが出来るよう、自己鍛錬を重ねてほしい。錆びた方法論やルールは勇気を出して脱ぎ捨てて、新しいことに挑戦していってほしい。演劇祭を経て、これから磨くべき武器や補わなければならない弱点もたくさん見えてきた。さあ、一緒に頑張っていこう。再スタートだ。



2005年10月8日[土]
昨日はニャンプー役の第三次オーディション。ニャンプー役は丹下真寿美メンバーに決定。そして、これから衣裳のヨダさんと『ニャンプー』のフライヤーのための衣裳打ち合わせ。ピースピット史上、最も手の込んだフライヤーになりそうです。プランがうまくいくかどうかはまだわからないけど、うまくいったらとても素敵なフライヤーになるはずだ。デザイン作業が楽しみだ。『オウルズ・マップ対抗戦』と同時進行で『ニャンプー』の方も進めていかないとならない。またまた忙しくなってきた。



2005年10月9日[日]
劇団そとばこまち『BLUE BLUE BLUE』にゲスト出演の日。朝からそのためにいろいろ準備中。経費も出ないのに小道具作製のためにあれこれ買い出し。4000円もかかった。芝居をしにいくというよりは、もういたずらっ子の心境であれこれ画策している。そとばこまちのアトリエは30人入ったらきゅうきゅうのミニスペース。僕は今日の5時のステージから出ています。上演時間は二時間ほど。主役お三方の濃密な演技にとても引き込まれる舞台です。もしお暇があれば観に来てください。



2005年10月10日[月]

写真は『きょうの猫村さん』という漫画からの1コマ。情にもろいけど、家事をやらせれば完璧なスーパー家政婦猫・猫村さんの活躍を描くネット漫画を単行本にまとめたもの。回転寿司屋で寿司食いながら読んでたら、笑って泣いて、寿司どころではなくなってしまった。研ぎ澄まされた台詞と鉛筆画のタッチがたまらん。今年度最高の一冊になりそうだ。二巻の発売が楽しみでならない。

http://banner1.bcdc.home.ne.jp/common/exteriors/cpromotion/nekomura/






2005年10月11日[火]

HYT10月ワークショップ『オウルズ・マップ 対抗戦』におけるチーム駒鳥の稽古も早三回目。正式な稽古初日は明日だけど、駒鳥メンバーは扇町公園の寒空の下で自主稽古を敢行している。僕も付き合う。みんなに差し入れをとコンビニで肉まんを10個買っていったら袋に8個しか入ってなくて、足りない2個分をいちいち取りに戻るかどうかを葛藤、己の器の小ささがつくづく身に染みながらの稽古スタート。駒鳥メンバーはみしみしと音を立てて成長中。稽古1日目と3日目では目に見えて変化しているメンバーもいる……ような気がする。「ような気がする」、と書くのは自分の価値観にほとほと自信がないからか。そういえばよく「ような気がする」を使う。自分に逃げ道を作っている感じで実にいただけない文章だ。これまでどれほど「ような気がする」的モラトリアム文章を書き続けてきたことだろうか。もう30も近いことだし、そろそろ断言する勇気を持たねばならない時期ではなかろうか。とりあえず、駒鳥メンバーは頑張っている。と断言しとこう。梟メンバーの動向は僕の耳には届いてないのでどうだか知らない。『オウルズ・マップ 対抗戦』は駒鳥が三歩リードしていると、そう断言しよう。「断言」の使い方が合っているかどうか不安な中、駒鳥は今日も稽古稽古。肉より骨を成長させるための作業。成長期は骨が伸びて痛むらしいけど、今まさにそんな感じではなかろうか。本番までに如何に痛みに耐えながら成長を遂げるか。踏ん張りどころである。明日から「梟」の稽古もスタートする。

稽古帰りにTSUTAYAに寄って「駒鳥」のための選曲素材探し。試聴用のCDプレイヤーが電池残量が少なくて調子が悪く、電池を交換してもらおうと店員に持っていった途端、調子が良くなる。で、試聴しようとしたらまた調子悪くなって店員に持っていったらまた調子が良くなる。「こりゃ、しょげながら帰るしかないな」、と白旗を挙げて店をあとにした。ような気がする。と断言しよう。






2005年10月12日[水]

「百萬両って本名じゃないんですか!?」。客演の片岡百萬両くんと談話中に驚きの声を上げる川村理恵メンバー。写真はその直後を捉えたもの。驚きのあまりぶれまくっている。片岡百萬両くんと川村メンバーは劇中でコンビを組む。取りあえず今日は「百萬両」が本名ではないということがわかった。この調子でお互いの理解を深め、緊密な演劇関係を築いていってほしい。本日は『オウルズ・マップ 対抗戦』の自主練。稽古場に集まったメンバーは、チーム梟とチーム駒鳥に別れて稽古。HYT内部では様々な条件において「不利」との声が高かったチーム駒鳥が善戦している。チーム梟の追撃に期待したい。差は開くのか縮まるのか。本日の書き込みのタイトルは、本棚にあったエッセイ本のタイトルを真似させてもらったもの。もし僕らのしばいがビールであったなら。観てくれる人をよい感じに酔わせたい。自分は酔わないように? いやいや、自分も酔って人も酔わせるそんな懐の深いビールでありたいのだ。でも飲みすぎには注意。

明日は『ニャンプー』のフライヤー写真撮影。ビールで酔いながら準備に追われよう。






2005年10月13日[木]
HYTのブログの書き込みで市橋メンバーの愛猫が逝ったとの報告。幸福の中で逝けていればよいのだけど。ピースピットで作る芝居には『オウルズ・マップ』『ニャンプー』に関わらず、必ず物語のどこかに「猫」が出てくる(鼠も割と高頻度で出ていることにこないだ気づいたけど)。実際に「猫」だったり、「猫的な要素」がキャラクター設定の中に盛り込まれていたりとその時その時でいろいろある。もちろんそれには僕なりの意図があるわけだけど、それについては話してしまうと他愛もないことだったりするのでここはひとつ内緒にしときます。市橋メンバーが『オウルズ・マップ 対抗戦』で猫役を演じることになったのは偶然がもたらしてくれた弔いの機会だと思う。猫役を通じてチビを弔おう。僕らも付き合うよ。

今日は『ニャンプー』のフライヤー用写真撮影。昼から機材だの絵コンテだの衣裳だのを用意して、いざ撮影に挑んだんだけど、いろいろ不備があってうまく進行できなかった。結局、明後日に撮り直すことに。そんなわけで今日撮った写真は全部ボツ。まあ、今日あくせくしたおかげで次の撮影はスムーズに行くはずなんだけど。上の写真はそんな埋もれゆくボツ写真のひとつを適当に加工したもの。もったいないのでブログ用とした。いかなる素材も無駄にしないのココロだ。貧乏性とも言う。本番の写真はまた全然違ったものになる予定。気を引き締めてかかります。



2005年10月14日[金]
生活がHYT中心に回転する日々。前日よりHYTのウェブ強化のための合宿。取り急ぎ「メンバープロフィール」と「メルヘン稽古場日記」を更新しました。ウェブはどんどん強化していきます。どうぞよろしくお願いいたします。まあそんないろんな作業をメンバーと一緒に朝までやって、昼から稽古場に行く予定が徹夜続きが祟って案の定寝坊。一時間遅れで稽古場に到着する。すみませんでした。稽古場到着してすぐに、一昨日撮りきれなかった『ニャンプー』フライヤーのための写真撮影の続き。小一時間で撮り終えるつもりが、なんだかんだで五時間以上かかる。かつてない苦戦の撮影だった。でも苦労の甲斐あって良い写真になりそう。撮影後は『オウルズ・マップ 対抗戦』の稽古。静の梟、動の駒鳥。それぞれの『オウルズ・マップ』が立ち上がっていきそうな気配。稽古の合間、稽古場の近所の神社でやっている秋祭りを見に行ったんだけど、楽しくて楽しくてつい買い食いで散財してしまった。神社の境内に町の青年団が作った様々な御輿が入れ替わり立ち替わりやってくるんだけど、電飾があったり、C02で煙幕を焚いたり、演出に凝りまくってて面白かった。写真は撮影準備中のニャンプー役・丹下メンバー。HYTメンバー全員の代表としてフライヤーの表面に顔が載る。緊張しているだろうけど、それも含めて楽しんでやってほしいと思う。

先日、ブログが内輪ノリ過ぎてちょっとだけ書き込みの際のルールを決めたんだけど、ルールを決めた途端、書き込み量が格段に減って寂しい限り。心も体も頭ももっともっと回転していけたらなあ。



2005年10月15日[土]
とあるデザイン素材のためにメンバーの写真を撮影。デザインの都合上、みんなに黒っぽい服を着てもらって撮影していたんだけど、黒Tシャツばかりでどうもバリエーションが少ない。なんかバリエーションが欲しいなあと思ったところにスタイル抜群の森口メンバーの番が回ってきたので、「なんか下着姿とかだったらかっこいいかも。今、着けているのが黒色のブラジャーだったらそれで撮ってみよう」と思って、「今、何色の下着つけてるの?」って聞いたらその場にいたメンバーがみんなひいててよくよく考えてみたら、ああ、普通にこれ変態発言だぞ、と気づいてすぐさま前言撤回した、みたいな先日のやり取り。

『オウルズ・マップ 対抗戦』チーム駒鳥用の選曲がやんわりと決まる。稽古場で流しながらやってみて合わない曲は変更していく。選曲を手伝ってくれた竹千代メンバー、ありがとう。なかなか楽しげな雰囲気の芝居になりそうだ。『オウルズ・マップ 対抗戦』は「梟」と「駒鳥」で演出をかなり変更している。「梟」は初演の演出を踏襲しながらシックにスマートに、演技や感情を丹念に紡んでいく感じ。「駒鳥」は賑やかでダンサブルに、その場のノリと勢いでガンガンいく感じ。そんなことをしたら見比べにくいじゃないか、という意見もあるだろうけど『ニャンプー』に向けて大きな成果を得るためのトライアルだ。今別れている2チームがひとつになった時、足し算ではなく掛け算のアンサンブルを生み出せるよう願って。演出も丸ごと変更し、台詞もどんどん変えていく「駒鳥」に割と手一杯になってしまっている僕に代わって、「梟」の演出チーフを前田多佳子メンバーが担ってくれている。頼りにしてますリーダー。対抗戦が終わって僕たちの最終目標『ニャンプー』の稽古に取りかかる時、各々の成果を統合してより高みに昇っていけたらなと思う。

それはそうと、最近忙しくて髭を剃る時間が無く、せっかくなので『オウルズ・マップ 対抗戦』まで伸ばしてみている。これは11月頭のシンポジウムでうまく喋れなくてもなんとか存在感を残せまいかという浅い作戦のための伏線でもある。それにしても似合わないなあ、髭。






2005年10月16日[日]
ファントマの伊藤えん魔さんから「今日の夜、ラジオの収録やってるから遊びにこいよ」とお誘いが。くー、すごい行きたいけどHYTの稽古があるからなくなくお断りしてしまった。今はなによりHYTなのだ。今日も今日とて『オウルズ・マップ 対抗戦』。もう稽古、作業、稽古、作業、合間に仮眠、稽古、作業で時間が24時間で区切られていなくて時間感覚がまったくなくなってしまっている。チーム梟は、スターリングの夜の散歩のシーンのステージングがつけられていた。なかなかかわいらしい感じのパフォーマンス。チーム駒鳥は、物語の肝となるクライマックスの長台詞を桜井メンバーがほぼ覚えてて感心したのも束の間、栗山メンバーもかなり台詞入ってて二度感心。このまま稽古場のボルテージがあがっていってくれればいいんだけど。



2005年10月17日[月]
睡眠不足。もうそれをそのまま劇団名にしてもいいくらいみんなが睡眠不足のようだ。『オウルズ・マップ対抗戦』まで二週間を切った。HYTメンバ-は扇町公園で自主稽古。僕は来年のピ-スピットの打ち合わせがあって11時過ぎに稽古場所に到着。稽古はすでに終わっていた。客演の片岡くんだけ残っていたので、ちょっとだけ雑談してから帰る。『オウルズ・マップ対抗戦』が終われば、毎日稽古が通常の週三稽古に戻り、スケジュ-ル的に余裕が出てくる。でも、それはまあ例えはあれだけど「開戦」の合図でもある。『オウルズ・マップ対抗戦』が終われば、即『ニャンプ-』のための直接的なトライアルが始まるからだ。模擬戦は終了して実戦へと突入。飛び交う弾は実弾。地雷を踏めば即死。鬼軍曹は激戦区ど真ん中を突っ切りながら部隊全員の生還を目指さなければならない。頭の中で『スタ-シップ・トル-パ-ズ』のテ-マソングが鳴る。♪ダ--ダッダダ-ダ-、ダ--ダッダダ-。知ってる人は鼻歌んでください。睡眠不足の中、ラストスパ-トをかけていきたい。



2005年10月18日[火]
タキシードがやぶれた。こないだ尼崎で上演されていた『インディアン島への招待』というミステリー劇での話だ。別に公演にはまったく僕は関係していないんだけど、舞台上で誤ってやぶかれてしまったタキシードが、いつもピースピットの衣裳をやってくれているヨダちゃんの仕事先の衣裳室からレンタルされていたものだった。ピースピットでもタキシードやウエディングドレスなどが必要な時にこの衣裳室からよくレンタルしていたんだけど、今回の「タキシード事件」で演劇関係者がこの衣裳室から衣裳をレンタルすることが不可能になってしまった。勘弁願いたいというそういう話だ。



2005年10月24日[月]
HEP HALLの丸山さん・星川さん・麻田さんと打ち合わせを兼ねた飲み会。梅田の焼き鳥屋にて。僕も常に疲れている感ありありだが丸山さんのくたびれ具合も相当なものだった。なんか人の名前みたいな日本酒を飲んだが、なんという名前だったかは忘れてしまった。丸山さんの話が盛り上がる→トイレが我慢できなくて席を立つ→しばらくしてまた丸山さんの話がいいところに差し掛かる→また膀胱が限界になってトイレに駆け込む、という繰り返しでトーククラッシャーな宴席の僕であった。



2005年10月25日[火]

そういえば先日『コープス・ブライド』を観た。『チャーリーとチョコレート工場』に続き、これまた大層な傑作であった。クリエイターとして「なにかしら」の悟りを開いたとしか思えないティム・バートンの才気だ。しかしバートンもさることながら、ダニー・エルフマンの開眼っぷりにも目を見張る。このおっさん、映画音楽家でありながら『チャーリーとチョコレート工場』のウンパ・ルンパのバカソングも『コープス・ブライド』のもっともキャッチーな見せ場である「コープス・ブライドがなぜ死体の花嫁となったか」を説明するために歌って聞かせる件も、全部自分で歌っているのだ。もともと「オインゴ・ボインゴ」というバンドのボーカルだったので、まあ歌はうまくてあたりまえなんだけど。でもあのウンパ・ルンパのあほな歌やボーンジャングルスのノリノリなジャズナンバーを録音しているダニー・エルフマン様子を想像するだけで、なんかこう、胸が熱くなってくる。






2005年10月27日[木]
今日もHYTは『オウルズ・マップ対抗戦』の稽古。演出を全く新しく付け直している「駒鳥」の稽古にかかりっきりで「梟」の稽古があまり見れていない。そして、「梟」に出るはずの自分の稽古もできていない。明日で「駒鳥」の演出が全部ついたらいいんだけど。先日つけたステージングシーンを今日曲入りでやってみたらすごく楽しげでテンションが1メモリ上がった。しかしながら遅れに遅れている「駒鳥」で稽古場を占領してしまって「梟」には申し訳ない感じだ。ステージングの「駒鳥」、演技の「梟」でコンセプトわけしているので、どうしても「駒鳥」が場所をとってしまいがちだ。明日の稽古は「梟」を優先させよう。それはそうと、演技の「梟」、その梟の演技がまったくもって立ち上がってこないことにあせりも感じている。段取りこそついていなく荒削りだが「駒鳥」の方が演技に関しても魅力的だ。この要因を分析しつつ、「駒鳥」の演出を早く終わらせて「梟」をテコ入れしなくてはいけない。稽古後、『ニャンプー』のフライヤー用のイラストをお願いしているなんかさんと打ち合わせ。「このゲームのパッケージイラストが好きで」「ああ、その人の画集持ってます」、「あのイラストレーターみたいなテイストがいいんです」「その人の画集も持ってます」、「本屋で見たあの画家さんのカレンダーがすごくよくて」「その画集も持ってます」と、もう世界中のいかなる画集も持ってる勢いのなんかさんのイラストはすさまじくいい感じに仕上がる予定。ああ、早くフライヤーをデザインしたいデザインしたい。それはともかく風邪をだだひいているので、それを治すのが先決だ。



2005年10月28日[金]
ここのところ体調がずっと低空飛行。あまりにも不調で入眠時にはもう「もう二度と目が覚めないかも」と覚悟しながら気絶するように寝入る日々。みんなありがとう。みんなありがとう。そういう時に頭に浮かぶのは家族や友人に対する感謝の意ばかりである。みんなに会えてよかった。もう少しだけ一緒にいたかったけど。そして闇の中へ。朝、起きてホッと胸をなで下ろす。まだ続きがあるんだと。そんな心身共にバッドコンディションの中、ビデオ映画の脚本第一稿が30日に〆切で朝から晩までそれにかかりっきり。『屋久島の女』の脚本もそろそろ仕上げないといけないし、それが終われば『ニャンプー』の脚本、それが終われば『SMITH』の脚本、『SMITH』が終わればバートンズの脚本と、もう〆切という名の地獄行脚。もうすぐ『オウルズ・マップ 対抗戦』もある。制作業務やフライヤーデザイン等々、様々な作業も残っている。ビデオ映画の脚本作業中にいろんな人から電話がかかってくるも、集中が途切れるともう一度集中を取り戻すのに何時間もかかるので全部無視。この場を借りて皆様にお詫び申し上げます。すみません。



2005年10月29日[土]
家に籠もってDVD脚本作業。換気の悪い部屋の中で作業していると気分が鬱々としてくる。8時頃、稽古場に場所を移動。みんなの稽古を横目に自分の作業を進める。



2005年10月30日[日]

ずっと関わっていたDVD映画の脚本の第一稿がようやっと完成。最後に「完」ってタイピングするともうホッとする。とりあえず缶ビール飲んで打ち上がろう。HYTは本日も『オウルズ・マップ 対抗戦』の稽古。新しいシーンの演出をつけようとするも、創作現場に携わる者としての皆の状態が芳しくなく、眉間にしわ寄せての話し合いとなる。一度、こうなると蟻地獄なんだよなあ。でもそこに目をつぶって稽古を進めるわけにも行かないし。ジレンマだ。今日は稽古の合間にDVD映画の脚本の〆切だったせいもあり稽古場でも脚本書いてた。猫だの梟だのファンタジックな単語が飛び出す横で、セックス&バイオレンスな話を書いてた。申し訳ない。今日でDVD映画の仕事が一段落したので、もうあとは『オウルズ・マップ 対抗戦』まっしぐらだ。今日の稽古終わり、創作熱の温度の低い稽古場をどうしたものかと話し合い、「いっそ今から演目を変えて嫌でもスイッチを入れざるを得ない状況を作ろうか」という話にもなった。もしかしたら、『オウルズ・マップ 対抗戦』は『有毒少年 対抗戦』に変わる可能性もあります。そんなの嫌だけど。そんな感じで、停滞感ありありの現場をガツンと盛り上げていかなくてはならない。あと5日。踏ん張るっきゃない。

写真は現在製作中の『ニャンプー』本チラシ。今までにない雰囲気で攻めてます。もっともっと新しいことに挑戦していきたい。それにしても、なんか脚本仕上げてホッとしたら泣きたくなってきた。永野のりこの『電波オデッセイ』でも読みながらウトウトと眠ろう。






2005年10月31日[月]
今日は『オウルズ・マップ 対抗戦』の稽古。昨日も稽古。明日も稽古。チーム梟の発表まであと5日。チーム駒鳥の発表まであと6日。今日は扇町公園で自主稽古。寒空の下でみんなが走り回っている。稽古中、演出である僕は「ぬるいよ」「しょぼいよ」と役者たちに苦言を連発する。なにがって現場の空気がだ。下手でも不器用でも経験なくても才能なくても鈍くさくても、なにがなんでも物作りするという「熱」と「工夫」がそこにあれば現場は回転していくんだけど、「熱」も「工夫」も足り無すぎる。誰かに「熱」と「工夫」を用意してもらえるのを待ってさえいる。そんな他人の「熱」や「工夫」で物作りしてもなんにもならないよ。誰が一番がむしゃらに頑張っているのかといえば、客演の片岡百萬両くんであったり木原勝利くんであったりする。中には見違えるように成長しているメンバーもちらほらいる。けど、まだまだそれでも足りないのだ。「あんまり苦言ばかり言っていると役者が縮こまるよ。もっと褒めて伸ばさなきゃ」と先日友人から駄目出しされたけど、褒めてじわじわと成長を待っている状況でもないのだ。多種多様な人間を一箇所に集めてそれなりのレベルに引き上げるためにはどうしたらよいのか? 一番てっとり早い方法を考えるとそれはどうしても「軍隊」のようなシステムに行き当たる。でも、せっかくの個の集まりを「軍隊」にもしたくない。あーだこーだと毎日駄目出ししながら「俺がなにを言う」と自己嫌悪にも陥るけど、僕が舵取りなのでそれは仕方がない。その代価として素晴らしいパフォーマンスが生まれれば。もっと。もっと。もっと。試行錯誤の毎日。唐辛子のように辛口のHYTの現場ではみんなが悪戦苦闘。なにかが弾けそうな予感がないわけでもないのだ。藻掻こう。あと少しだけ藻掻いて、一週間後の打ち上げではみんなとうまい酒が飲めればよいのだけれど。

あくまで傾向としてだけど、いろんなワークショップを渡り歩いている人間に限って表現者としての大切ななにかが欠落しているように思えてならない。俳優修練を謳ったワークショップはその実、俳優を緩やかに殺していく装置となっているのではなかろうか。そういえば、高校演劇経験者にも同じような感覚を覚える。その辺のメカニズムをもっと分析していかにそれを効率的に軽やかに解消していくかを今後のHYTに生かしていきたい。







 

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